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魅惑のコーラス ~ビートルズ編(1)~ [音楽の聴き方]

コーラスの楽しさを教えてくれたのは、ビートルズだった。

ジョン・レノンポール・マッカートニーという、
単独でもそれぞれ強力なボーカリストである二人のハーモニーは、
まさに史上最強、天下無敵といっていい。

二人の息のあったハモリを聴くと、
そこに確かな絆が感じられて、なんとなく嬉しくなる。

「If I Fell」The Beatles

『A Hard Day's Night』に収録の「If I Fell」は、
どちらが主旋律とも言えないような、美しいメロディーを持った曲。
サビのD9への展開なんか鳥肌ものだ。
強引な展開のイントロ(バース?)からジョンのセンスが爆発。


「Don't Let Me Down

ハモリというのは、相手に合わせることが大事で、
自分の感情は抑え気味になるものだが、このむき出しの感情はどうだろう。
二人のエモーショナルなシャウトによるハモリが胸を打つ。
『Let It Be... Naked収録バージョンでは、
ジョージを加えた3声のハモリが聴ける。

 

「I Don't Want To Spoil The Party」The Beatles

『Beatles For Saleに収録のカントリー風の佳曲。

この曲は、Aメロはジョンが一人でハーモニーをつけていて、
サビは高音の主旋律をポール、下のハーモニーをジョン。
…といわれているが、果たしてそうだろうか?

Aメロ部分、僕は下でハーモニーをつけているのは、
ポールじゃないかと思う。

この低音部、確かに僕も最初はジョンだと思っていたが、
それにしてはジョン特有の張りが、あまり感じられないし、
リズムのノリに微妙なずれがあるような気もする。

それにポールはジョンに似せて歌うのが得意だ。
サビにしたって初めて聴く人にとっては、
一瞬同じ人が歌っていると思うんじゃないだろうか。

"If she turns up while I'm gone please let me know"の
while I'm gone のあたり、一瞬ポールの地が出ている気がするのだが、どうだろうか。

また、情報源がどこかは知らないが、
大元の情報が間違っている、という場合だってなくはないし、
本人たちの証言でさえ、実は勘違いというケースもある。

だから、最終的には自分の耳で判断するしかないのだが、
いかんせん、張りの弱い低音部だけに分かりづらい。

それに、おそらくミックスの段階で、
Aメロ~サビへのスムーズなつながりを意図して、
同じような声質になるよう加工しているのだろう。
ぼやけた感じがするのは、そのせいかもしれない。

少し考え方を変えてみれば、
じゃあ逆に、ジョンの一人ハーモニーでなきゃならない必然性はあるのか?

バンドでありながら、ソロ的な作品が多くなる後期になってくると、
作者がひとりでハーモニーをつける、というケースは確かに出てくる。

初期でもポール、あるいはジョンの一人ハーモニーとされる曲はあるが、
僕はそれも疑わしいと思っている。

仮にポールの「Things We Said Today」が、
言われるようにポール自身のハモリだったとするなら、
ジョンの作品が質量ともに圧倒する『A Hard Day's Night』の中で、
数少ないポール作品の印象を高める意図と考えられなくもない。

しかしこの「I Don't Want To Spoil The Party」では、
そのような必然性は感じられない。
むしろ二人のハーモニーこそが、最大の聴き所といってもいい曲ではないだろうか。

サビは二人でハモっているのだから、
Aメロだけ、ジョンが一人でハモるというのもどうか。

そうやって改めて聴いてみると、ポールに聴こえてきませんか?

真相はともかく、この曲はビートルズのひとつのスタイルを示している。

普通1つの曲では、同じ人が主旋律をずっと歌うと思うのだが、
彼らの場合、特にジョンのメイン・ボーカルの曲で、
サビなど高音の部分になると、ポールがメインをとることがある。
この曲や「A Hard Day's Night」などがそうだ。

僕の言うように、この曲のAメロの低音部がポールなら、
Aメロとサビで、まさに主旋律とハーモニーが入れ替わる「ねじれの構図」となる。
このねじれる瞬間の何とスリリングなこと!

自分の作った曲が、自分の音域では歌えないと分かったとき、
普通はキーを下げるか、メロディーを変えるんじゃないだろうか。
でもそれでは、曲のイメージが損なわれてしまう。

ところが相方ならその音域を歌える、しかも自分と同じようにかっこよく。
じゃあ相方に歌ってもらおう、というのはとても合理的だが、
思ってもなかなかできないことだ。
一見禁じ手にも思える、この方法を強みに変えてしまったのがビートルズである。

つまり、自分で歌いたいというエゴを捨てることで、
思い描いた最良のイメージで、曲を具体化できるようになったのだ。

なんと柔軟な姿勢。それはまた、パートナーを信頼しているからこそ
できることではないだろうか。


nice!(3)  コメント(9) 
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コメント 9

ノーバッド

初めまして。
おっしゃるとおりです。
あの独特なハーモニー。
鳥肌もんで聴いていました。今もそうですが。

I Don't Want To Spoil The Party
どうなんでしょう。今日帰って聴いてみます。
彼らの場合、多重録音もしていたので興味深いですね。
by ノーバッド (2009-04-24 12:37) 

ヤンマ

はじめまして。

「If I Fell」
「サビのD9への展開なんか鳥肌ものだ。」

まさに「her」のとこですね。ちょっと強引に聞こえるますが、ここがビートルズの魅力です。

3声コーラスも素晴らしいグループですね。

by ヤンマ (2009-04-24 21:05) 

substitute

こんばんは。
記事に引き込まれて、貼り付けてある音、聴き込んじゃいました。
私的結論は、天才の奇跡的な出会いという事と、
そういう言い方しかできない自分の才の無さ・・・
それはさておき、やっぱりThe Beatlesは好いですね~。
by substitute (2009-04-24 23:13) 

walrus

ノーバッドさん、はじめまして。
nice!&コメントありがとうございます!
勢いに任せて書いてしまいましたが、
う〜ん、やっぱりジョンかな、と揺れ動いています。
でも、どっちでもいいのです。
こうやって妄想することが楽しかったりするんですよね。
ぜひ、ノーバッドさんのご意見もお聞かせください。
by walrus (2009-04-25 01:00) 

walrus

ヤンマさん、はじめまして。
コメントありがとうございます!
その強引さがクセになるんですよね〜。
そうやって強引に、いろいろ開拓していったのが
ビートルズだと思います。
次回は3声の曲もピックアップするつもりです。

by walrus (2009-04-25 01:04) 

walrus

substituteさん、こんばんは。
「天才の奇跡的な出会い」まったく同感です。
その奇跡に思いを馳せると、この時代に生きていてよかったと、
大げさにも考えてしまいます。
by walrus (2009-04-25 01:08) 

DEBDYLAN

こんばんは!!
って随分出遅れですが^^;

一度読ませていただいてて、
なんて書こうかなって迷ってたら。。。(苦笑)

「IF I FELL」や、「THIS BOY」、「I'LL BE BACK」などの、
初期の半アカペラ的な曲、大好きです。

どのパートが主旋律なのか、
良い意味で曖昧なコーラス(笑)

ビートルズの曲って独りで歌ってると、
知らないうちにいろんなパートを行き来して歌ってる自分に気付きます。
主旋律と思われるメロディを追っていったらそーなっちゃうっつーか。。。
僕だけかな?^^;

こういう構成って、
エヴァリー・ブラザーズの影響って大きいんじゃないかなって思います^^。

ジョンとポールの声。
ハモるとホント似てるときがありますね。

声に含まれてる倍音が共鳴しあってるというか。
一卵性双生児のハーモニーみたいに聴こえます。

意図的にやってたのかもしれないけど。
僕はこのハーモニーのマジックに心地良く浸かっていたいです♪

by DEBDYLAN (2009-05-08 02:01) 

walrus

DEBさん、こんばんは。
僕もDEBさんのブログ、コメントしなきゃと思いつつ、
どんどん記事が更新されるので、追いつかないでいました…

「I'LL BE BACK」もいいですねえ!

> ビートルズの曲って独りで歌ってると、
> 知らないうちにいろんなパートを行き来して歌ってる自分に気付きます。
>主旋律と思われるメロディを追っていったらそーなっちゃうっつーか。。。
> 僕だけかな?^^;

いや、分かります!そうなんですよね。
どっちも主旋律っぽいんですよ。

> エヴァリー・ブラザーズの影響って大きいんじゃないかなって思います^^。

初期のジョンとポールのハモリなんか、まさにエヴァリー・ブラザーズって感じですよね。

by walrus (2009-05-10 02:54) 

Mimi

カラオケでビートルズを歌っててもいまひとつなのは、
自分ひとりで歌ってるからなんですね。

ジョンのパートや、ポールのパートや、ジョージのパートがあって初めて
ビートルズの歌となるわけですから。

ビートルズは好きでも、なかなか「どっちのパートやる?」って聞いてくれる人はいません・・・。

で、「ジョン抜き」、「ポール抜き」、「ジョージ抜き」、「ギター抜き」がそれぞれある「Beatle Minus One」というCDで練習してます。
A Hard Day's Night は、二人で歌うとほんとに楽しいですね♪

コーラス譜は、何十年も前に1冊500円で買ったNICHIONの楽譜、
「ビートルズ・コーラス傑作集 Vol.1.2.3」が宝物です。(^^)

それでも、相手につられる私って・・・。(^^;)

趣旨から外れたコメントしてしまいましたが、ビートルズが来日以来大好き!なファンということで、お許しください。

by Mimi (2010-05-24 20:11) 

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