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『アモリカ』ザ・ブラック・クロウズ ~深海のカラス~ [音楽の聴き方]

アモリカ

「amorica.」The Black Crowes(1994)

 1. Gone
 2. A Conspiracy
 3. High Head Blues
 4. Cursed Diamond
 5. Nonfiction
 6. She Gave Good Sunflower
 7. P. 25 London
 8. Ballad In Urgency
 9. Wiser Time
10. Downtown Money Waster
11. Descending
12. Chevrolet (Bonus Track)

プロデュース:Jack Joseph Puig & The Black Crowes

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■深海のカラス

深い海の底。
そこにはキャッチーな魚はいない。
いるのは、一風変わったマニアックな生き物たち。

光の届かぬ闇の世界。
だけど、いやだからか、なぜか落ち着く。

前作で音楽的な深化を遂げた、ブラック・クロウズは、
さらなる深みへと下りてゆき(Descending)、
ついに深海にまで到達した。

・・・

ブラック・クロウズシリーズ第3戦。
エース『アモリカ』の登場である。

■「ゴーン」の衝撃

1曲目の「ゴーン」を聴いたときの興奮は忘れられない。

エリック・ボボの土着的なパーカッションから幕が開き、
切り刻むようなギターのカッティングが入ってくる。
さらに幻惑的なリードギターのフレーズが追随し、ドラムが重なる。
そこへクリスのヴォーカルが割って入るという、スリリングなオープニング。

ヴァースを1巡した後の間奏から、ベースが加わるのだが、
それがまたかっこいい。
サビまでは、ひたすらG7sus4のコードでグイグイ押していく。
この緊張感!!

サビでは、ポリリズム・変拍子的アプローチで、
リズムの秩序が歪められ、混沌とした大きなうねりをつくり出す。
ブラック・クロウズ的プログレッシヴ・ヘヴィ・ソウル。
またギターソロへの展開も素晴らしい。

あの傑作『サザン・ハーモニー』を完全に払拭し、
過去に押しやるのに十分な、強烈なチューンである。
この1曲だけでも価値がある。

■メンバー構成の変化とサウンドの変化

前作『サザン・ハーモニー』では、
ギタリストの交替、キーボーディストの加入という、メンバー構成の変化が、
サウンドに大きな変化をもたらしたが、
今作でも、パーカッションをゲストメンバーに迎えたことで、
リズムに多様さが加わり、より繊細で複雑なグルーヴを
表現することが可能になった。

さらに前作から顕著だった、リズムに対するこだわりもあって、
全体に独特のアクセントを持った、深いうねりを感じさせるようになった。

サウンドは研ぎすまされ、よりヘヴィに、より繊細になった印象。
「ゴーン」のような攻撃的な緊張感もあれば、
「ワイザー・タイム」などでは、少し退いてリラックスした感じも見せる。

30曲以上レコーディングされた中から選ばれた曲たちは、どれも魅力的で、
彼らの定番だったカバー曲を、ボーナストラックへと追いやるのに十分な、
純度の高さを誇る。

■さらなる深化

ただ「ゴーン」を筆頭に、キャッチーな曲はひとつもない。
美しい曲もあるのだが、サウンドに媚びたところがないというか、
外へ向かうのではなく、とことん内に掘り下げて行った感じで、
とてもストイックなサウンド。

一方、より自分の感性を重視したソングライティングは、
ルーツをふまえながらも、かなり独創的ともいえる作風を確立しているように思う。
決して複雑なコードは使っていないにもかかわらず、
音の選び方、コード進行、曲の展開などユニークなものが多い。

『サザン・ハーモニー』に比べると、決してとっつき安いとは言えない。
それこそ、まさに光の届かない深海で、独自の発達を遂げた、
ユニークでいびつな姿をした、深海魚のような曲が並んでいる。

はじめは読めない展開に、違和感、強引さを感じる部分もあったが、
それは初めてのものを体験するときには、得てしてつきまとう感覚ではないだろうか。

とにかく『サザン・ハーモニー』とは、まるで違う感触。
前作でひとつのスタイルを作り上げた彼らだが、
今作ではさらなる変容を遂げ、アーチストとしての成長を見せつけたと言えるだろう。

■高純度の麻薬

『サザン・ハーモニー』は、個々の曲が独立して存在するイメージだが、
この『アモリカ』は、アルバム全体で、ひとつの曲のような印象を受ける。

特にコンセプトアルバムというわけでもなさそうだが、
全体のトーンや感触などに、連帯感を感じるのだ。

また構成の面でも、一連の流れを感じさせる。
インパクトの強い「ゴーン」は、幕開けにふさわしいし、
ピアノが印象的で、終わりが名残惜しいようなバラード、
「ディセンディング」は締めくくりにぴったりだ。

「ゴーン」から「陰謀」、
「バラッド・イン・アージェンシー」
から「ワイザー・タイム」へのつなぎなどは、
メドレーのような演出で、流れを作り出している。

こうしてアルバム全体が、渾然一体となった音の渦を形成する。
その渦に身を任せる快感。
これは麻薬だ。それも高純度の麻薬である。
はまったら抜け出せない。
いったん渦に呑み込まれれば、あとは深海に引きずり込まれるだけだ。

 

★And More
『アモリカ』ザ・ブラック・クロウズ(1994) <CDジャケット>

 

「A Conspiracy(陰謀)」  

「High Head Blues(ハイ・ヘッド・ブルース)」


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