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『Music From Big Pink』The Band 〜深遠なる宇宙〜 [音楽の聴き方]


ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク







リリース:1968年

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■クリアなサウンド

久々に頭のテッペンから足のつま先まで、
どっぷり浸れるアルバムを見つけた。

The Bandの『Music From Big Pink』。
37年も前のアルバムとは信じられない瑞々しいサウンド!

リマスタリングのせいもあるだろうが、
個々の楽器の音の分離がよく、輪郭がはっきりしていて
奥行きを感じさせる立体的なサウンドだ。
もちろん、元々の演奏や録音状態が良くなければ、こうはならないだろう。

そしてどこまでも深く、エモーショナルなプレイ。
フレーズには一切の無駄がなく、どこを切り出してみても、
ひとつひとつの音にちゃんと意味がある、というような印象を受ける。

一聴するとアメリカの片田舎を思わせるアーシーなサウンドなのだが、
メンバーの4人がカナダ人というアイデンティティゆえか、
繊細さとダイナミックさの両方を兼ね備えた、独特のフィーリングを醸し出している。

■トリプル・ボーカル

一つのバンドに歌える人が複数いるバンドは多いが、
大抵は、作曲者がメインボーカルをとり、他の者はコーラスに回るというパターンが多い。
ところがザ・バンドの場合は、皆で歌うという感じが強く、
コーラスと言うより、ツインボーカル、トリプルボーカルといったニュアンスに近い。
それがシンプルな演奏を補い、曲に厚みと力強さを加えている。

そのボーカルスタイルは、一言でいえばエモーショナルなのだが、
同じエモーショナルなボーカルでも、
ポール・ロジャースやスティーブ・ウィンウッドなどの天才型とはまた違った、
庶民型(?)の、いかにもアメリカンな(実際はカナダのバンドだが)土臭さと、
懐の深さを備えたボーカル、とでも言おうか。

それでいてまた、しっとりした曲では
繊細で、透明度の高い湖のような、澄んだボーカルも聴かせるといった
幅の広さも持ち合わせている。

■深遠な宇宙

目を閉じてヘッドホンで聴いていると、
突如、宇宙空間に放り込まれたような感覚に陥る。

宇宙といっても、星や銀河といった視覚的なイメージとしてあるのではない。
もっと、感覚的、精神的なものだ。

こういう感覚的なことを言葉で説明するのは難しいが、
敢えて説明するとすれば、こういう感じだ。

たとえば、音の粒子というものがあるとしたら、
音楽の演奏と同時に、あらゆる方向へ拡散してゆくだろう。
通常は、障害物によって妨げられるか、
邪魔な音の存在で、互いの音は打ち消されてしまう。

ところが、この『Music From Big Pink』における音は、一つ一つがクリアで、
しっかりした意志を持った音の粒子は、より強い運動エネルギーを持つ。
つまりより遠くへと飛んでいくことができる。
また無駄な音が無いおかげで、音同士互いに打ち消しあうこともない。
従って音の粒子は、ニュートリノがあらゆる物質をすり抜けて行くように、
どこまでも半永久的に拡散していく。
こうした半永久的な拡散による空間の取り込みが、無限の宇宙を想起させるのだろう。

外へ向かう音があるとしたら、内に向かう音もあるだろう。
それらはどこまでも深く内部へと向かっていき、
内部にもまた、反転した宇宙を形成していく…

そんなイメージ。

■「Chest Fever」と「I Shall Be Released」

どの曲もクォリティは高いが、
特に好きなのは「Chest Fever」と「I Shall Be Released」だ。

「Chest Fever」は荘厳なオルガンから始まるスケールの大きな曲で、
フリーなオルガンのプレイからそのままリフに入り、
ドラム、ギター&ピアノ(の連打)、ベースと順に各楽器が入ってきて、
いきなりツインボーカルで歌い出すというのがかっこいい。
何度聴いてもゾクゾクする始まり方だ。

また、ザ・バンドの特徴である、 ゆったりと後ろへ引っ張られるような
粘っこいリズム、不器用に転がるベースも心地いい。

ボブ・ディランの曲、「I Shall Be Released」の
ピアノによるたった2小節のイントロは、
おそらくもっとも美しいイントロのひとつではないだろうか。

ザ・バンドに最初に接したのは中学の頃だったと思う。
たまたま何かのエアチェックのついでで
「Up On Cripple Creek」という曲を録音して、
当時好きだったタイプの音楽とは違うが、
消すには惜しいという理由でずっと残していたのだ。
だからこの曲は何度もくり返し聴いたが、
ただ、そこから発展して他の曲を聴いてみようという気にまではならなかった。
それより他に聴くべき曲が沢山あったからだが、
要するに中学生にはザ・バンドは余りに渋すぎたのだ。

高校に入って、隣のクラスのやつが「ザ・バンドいいよな」みたいなことを
話してるのをチラッと耳にしたことがあって、
そのときHR/HMにハマっていた自分は、なんか、
ザ・バンドの良さが分かるそいつが、自分より一歩先に行ってる気がして、
ちょっと悔しく思ったものである。

★Today's Set
1. Chest Fever(The Band)
2. I Shall Be Released(〃)
3. Up On Cripple Creek(〃)
4. Presence Of The Lord(Blind Faith)
5. Like A Rolling Stone(Bob Dylan)


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